北とぴあ国際音楽祭 2022 リュリ アルミード

 北とぴあ国際音楽祭、2022は待望のジャン・バティスト・リュリ「アルミード」上演が実現した。2020年に予定していた上演が新型コロナで延期になり、2年後のこの時となった。(9日 北とぴあ さくらホール)

 原作はタッソー「解放されたエルサレム」、十字軍をテーマとし、魔女としてアルミードが登場する面では、ヘンデル「リナルド」と共通する。リュリはアルミードが主役となり、騎士ルノーはアルミードへの愛を告白するものの、アルミードの許を去る。一方、ヘンデルでは、アルミードはリナルドの恋人を奪い、愛を告白するという点では異なる。アルミードは自分の真の恋人と結ばれ、キリスト教に改宗する。

 タイトルロールを歌ったクレール・ルフィリアートルは、体調が十分でなかったとはいえ、愛に揺れるアルミードを見事に歌い、演じた。ルノーのフィリップ・タルポも揺れる恋心ある騎士を見事に演じた。湯川亜也子、波多野睦美、与那城敬、山本悠尋、中嶋克彦、鈴木真衣、谷口洋介、鈴木美紀子も見事な歌唱と演技で見せた。

 バロックダンスでは松本更紗、ダリウシュ・ブロイェク、ニコレタ・ジャンカーキ、ピエール・フランソワ・ドレの見事な踊りがオペラを引き立てた。

 フランス、バロック・オペラではダンスもオペラ進行面では重要な役割を果たしている。その面も生かした上演は必要ではなかろうか。プロローグでの国王賛美、ルイ14世治世下のフランスを象徴する。それが、ラモーに至り、どう変わったかが問われるだろう。フランス絶対王政がルイ15世、16世と至り、フランス革命で崩壊する中、オペラ上演がどのような変遷をたどったか。

 2023年、ラモー「ボレアード」上演となる。答えを見つけよう。