務川慧吾 ショパン バラード 第4番 Op.52

 務川慧吾 ショパン バラード 第4番 Op.52。深々とした音色で味わい深く弾き進んでいく。悲し気な第1主題。心から歌う第2主題。たっぷりした歌心が見事である。

 ショパンは、ポーランドの詩人、ミツキェヴィチの詩から霊感を得てバラードを作曲したと言われる。この作品は、「3人の兄弟」に基づくと言われる。兄弟たちが兵隊として戦場に赴く。家から送り出した父親は、息子たちは戦死したと思っていたものの、息子たちは花嫁を伴って戻って来た。

 コーダの迫力が見事である。一気に物語の結末へと導く。第1番が凄まじいまでの迫力であっても、第4番は円熟したショパンの姿が浮かび上がる。これ見よがしではない。それを見事に締めくくった演奏である。