マルク・アンドレ・アムラン ガーシュウィン ピアノ協奏曲 へ調

 カナダのピアニスト、マルク・アンドレ・アムランがレナード・スラットキンとの共演によるガーシュヴィン ピアノ協奏曲 へ調を聴く。

 第1楽章。ジャズとクラシックが融合した、アメリカらしい音楽。ティンパニが力強く打たれ、オーケストラによる提示から、ピアノが抒情性豊かに歌うと、ジャズ風の流れとなる。ブルースの要素も加わり、オーケストラとピアノが見事に調和する。ラヴェル、ストラヴィンスキーに弟子入りして、クラシックの基礎を学ぼうとして、アメリカ音楽を確立しようとしたガーシュウィンが築いた真のアメリカ音楽が展開する。アムランのピアノが素晴らしい。第2楽章。ブルース風の旋律がオーケストラで奏される。クラシックと見事に調和している。ピアノが入っていく。ここはフォックストロットである。クラシックとの違和感もない。アムランもジャズの流れに乗っている。ヴァイオリン・ソロが見事である。再び、ブルースに戻る。アムランのピアノもじっくり聴かせる。第3楽章。オーケストラに続き、ピアノが入っていく激しい動き。ジャズとクラシックが見事に調和した世界が広がる。マリンバの響きも加わる。ラフマニノフを思わせる響きも聴こえてくる。アムランが見事に聴かせていく。エンターテインメントとクラシックが調和している。元来、クラシックにはエンターテインメント的な要素があったはずである。それが、ベート―ヴェン以降、芸術となり、エンターテインメント的要素が薄くなったことにある。ガーシュウィンは、ジャズの立場からクラシック音楽にエンターテインメント的要素を加えた音楽を創作して、誰でも楽しめる音楽を作らんとしていたかもしれない。

 その意味で、このピアノ協奏曲は、20世紀アメリカが生んだ傑作である。クラシックとジャズ、ポップスとの融合によって、真のアメリカ音楽となったと言えよう。