ヴラディーミル・ホロヴィッツ ショパン バラード 第1番 Op.23

 ヴラディーミル・ホロヴィッツ、ショパン、バラード、第1番、Op.23。1983年の来日コンサートでは、

「ひびの入った骨董品。」

と酷評され、1986年の再来日では、

「比類なき鍵盤の魔術師。」

と高く評価された。

 ここに聴くショパン、冒頭のC音の迫力。ショパンの音楽、物語の始まりを告げていく。主部に入ると、素晴らしい歌を繰り広げる。物悲しさ、暖かさ。それらが入り混じって、大きな世界を築いていく。コーダの迫力はどうだろう。物語の結末を見る思いである。

 伝説となったニューヨーク、カーネギーホールでのコンサート、ライヴである。まだ、ホロヴィッツが日本にやって来る前とはいえ、全盛期の貴重な記録には変わりない。鍵盤の魔術師と歌われても、音楽を重んじたホロヴィッツの姿勢は評価さるべきだろう。