藤岡幸夫 音楽はお好きですか?

 慶應義塾大学文学部、イギリス、王立ノーザン音楽大学指揮科出身、東京、大阪中心に活躍する指揮者、藤岡幸夫のエッセイ集「音楽はお好きですか?」は、大変読み応えある内容で、お薦めの1冊である。

 ピアノを堀江孝子、チェロ・指揮を小林研一郎、指揮では渡辺暁雄、岩城宏之、尾高忠明といった大御所たちのもとで修業、イギリスに留学、サー・チャールズ・グローヴスに師事、指揮者・人間として成長、その中で出会った人々、楽曲に纏わるお話が淡々とした語り口で、私たちの前に現れる。

 ベートーヴェンと不滅の恋人、チャイコフスキー、交響曲第6番「悲愴」、ムソルグスキー=ラヴェル「展覧会の絵」などは、一読の価値がある。シベリウス、交響曲第5番、ショスタコーヴィチ、交響曲第6番への思いも、読むと作曲家への思いが伝わって来る。特に、ベンジャミン・ブリテンへの思いはしっかり読み取りたい。

 これは続編もある。こちらもご紹介したい。

 

(敬文舎 1500円+税)