バッハ・コレギウム・ジャパン 第146回定期演奏会


 バッハ・コレギウム・ジャパン、第146回定期演奏会はモーツァルト、宗教オペラ「第一戒律の責務」K.35、戴冠ミサ曲、K.317、鈴木優人指揮による聴き応え十分の意欲的なプログラムだった。(東京オペラシティ コンサートホール)

 モーツァルトのオペラ第1作となった「第一戒律の責務」は中江早希、望月万里亜、澤枝依里、谷口洋介、櫻田亮が傑出していた。怠惰なキリスト教徒が正義・慈愛・世俗・キリスト教徒の霊によって信仰に目覚めていく過程を描いた宗教オペラで、ダ・カーポ・アリアが見られるにせよ、後年の名作オペラへの道筋を感じ取った。

 戴冠ミサ曲では中江早希・青木洋也・櫻田亮・加耒徹が素晴らしい独唱を聴かせると、合唱が見事に応じた。加耒の堂々たる歌唱が心境著しい境地に入っていることを示していた。

 11歳ながら、オペラの本質を捉えた作品を生み出したモーツァルトは後年、数々の名作オペラを生み出す。宗教オペラとは言いながら、充実した作品で、一聴の価値ある作品といえよう。

 鈴木優人が新世代の音楽家として着々と地歩を固め、父鈴木雅明を超える存在になりつつある。今後の活躍に期待しよう。