反田恭平 ショパン ピアノソナタ 第3番 Op.58

 今、最もチケットが取りにくい人気ピアニスト、ショパンコンクール第2位となった反田恭平がコンクール後のコンサートで取り上げたショパン、ピアノソナタ第3番、Op.58。1844年、ショパン、34歳の時の作品で、ポーランドの父の訃報を聞いたショパンは、持病の肺結核が悪化したため、ジョルジュ・サンドが姉ルドヴィカにフランスへ来るよう、取り計らった。姉との再会を喜びつつ、この傑作を書いた。ショパンの病は次第に重くなるにつれ、サンドとの関係も冷えつつあった。その上、サンドの2人の子ども、モーリスとソランジュも絡み、悪化することとなった。ソランジュの結婚問題が2人の関係の終わりとなる。

 第1楽章。決然とした第1主題、情熱的な歌に満ちた第2主題。ショパンが描き出した壮大な世界を私たちの前に導き出した。音色も素晴らしい。ショパンの音、歌心に満ち溢れている。第2楽章。スケルツォ主部の見事な指さばき、歌心あふれる中間部との対比が聴きもの。ショパンの音楽が広がっていく。第3楽章。重々しい序奏の後、ショパンのエッセンスというべき素晴らしい歌の世界が広がっていく。深々とした音色でじっくり歌い上げられていく。第4楽章。壮大なロンド、情熱と歌が一体化したショパンの世界が広がっていく。スケールの大きさ、歌、音色が素晴らしい。

 反田恭平はこれからどんなピアニストに成長するだろうか。ショパンのみならず、バッハ、ベートーヴェンといったドイツ音楽、フランク、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルといったフランス音楽をはじめ、どのような演奏を聴かせるかが楽しみである。

 

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    admin (木曜日, 21 4月 2022 05:48)

    1