ゲルハルト・オピッツのコンサートシリーズ



 ペーター・レーゼルと共にドイツ・ピアノ界を代表する大御所、ゲルハルト・オピッツが11月24日、12月14日にリサイタル、12月22日に室内楽の夕べ、27日、28日にベートーヴェン、ピアノ協奏曲全曲演奏のコンサートシリーズを行った。(11月24日、12月22日 浜離宮朝日ホール 12月14日、東京オペラシティ コンサートホール 12月27日、28日 紀尾井ホール)

 リサイタルでは、浜離宮朝日ホールはベートーヴェン、ソナタ第17番、Op.31-2「テンペスト」、第23番、Op.57「熱情」、シューマン、3つの幻想小曲集、Op.111、ブラームス、幻想曲集、Op.116、ドイツ音楽の神髄をたっぷり味わうことができた。シューマンの作品の後にブラームスの作品を置いたことは、ブラームスのとのつながりを意識していたことが頷けた。東京オペラシティ コンサートホールでは、モーツァルト、幻想曲、K.475、ソナタ第14番、K.457、ベートーヴェン、エロイカの主題による変奏曲、Op.35、ムソルグスキー、展覧会の絵によるもので、モーツァルトの素晴らしい内面性、ベートーヴェンのスケールの大きさ、変奏曲の本質をえぐりだした演奏は見事だった。ムソルグスキーも音楽の本質をしっかり伝えた名演だった。

 室内楽の夕べでは、名古屋に本拠を置く愛知室内オーケストラのメンバーたちとのモーツァルト、フルート4重奏曲第1番、K.285、ベートーヴェン、ピアノと木管楽器のための5重奏曲、Op.16、ブラームス、ピアノ5重奏曲、Op.34で、愛知室内オーケストラのメンバーたちの力量も素晴らしいし、オピッツのピアノも見事だった。圧巻はブラームスで、素晴らしい演奏だった。

 締めくくりとなるベート―ヴェン、ピアノ協奏曲全曲演奏会では、第2番に始まり、ベートーヴェンのピアノ協奏曲創作史をたどり、第5番「皇帝」に至るベートーヴェンの実験を体感した。ヴァイオリン協奏曲の編曲版には、第5番への創作過程が見て取れた。ユべール・スダーン、愛知室内オーケストラが素晴らしい演奏で華を添えたといえよう。

 愛知室内オーケストラは、名古屋を本拠に、愛知県の音楽家たちを中心として、名古屋楽檀の牽引車になってきた。東京への公演も行って、名古屋の力を発揮してほしい。