オットマール・スウィトナー モーツァルト フィガロの結婚(ドイツ語版) K.492 その1

 モーツァルトを得意とし、NHK交響楽団名誉指揮者であったオットマール・スウィトナー、フィガロの結婚(ドイツ語版)は、ドレースデン・シュターツカペレを指揮したもので、キャストが当時のドイツの名歌手たちによっている。フィガロ、ヴァルター・ベリー、スザンナ、アンネリーゼ・ローテンベルガー、アルマヴィーヴァ伯爵、ヘルマン・プライ、伯爵夫人、ヒルデ・ギューデン、ケルビーノ、エディット・マティス、バルドロ、フリッツ・オーレンドルフ、マルチェリーナ、アンネリーズ・ブルマイスター、ドン・バジーリオ、ペーター・シュライヤー、ドン・クルツィオ、ユルゲン・フェルスター、バルバリーナ、ローズマリー・レーニッシュ、アントニオ、ジークフリート・フォーゲル。

 序曲のきびきびした中に、ドラマを予見させるものを感じる。この序曲がコンサートで演奏されても、オペラが始まるぞという、うきうきした気分が伝わる。スウィトナーの心頂骨である。第1幕。ベリー、ローテンベルガーの2重唱がドイツ語でもしっかりドラマが伝わっている。伯爵がスザンナに手を出そうとしていることを知ったフィガロが、伯爵を懲らしめてやろうと歌うアリア「踊りたければ」を聴くと、今に見ろという思いが伝わる。バルドロ、マルツェリーナがフィガロの結婚を邪魔しようと企む。しかし、この2人がフィガロの両親だったことがわかる。バルドロがフィガロに一泡吹かせるぞと歌う「仕返しだ」も見事。フェルスターの歌唱が光る。スザンナ、マルツェリーナのやり取りもローデンベルガー、ブルマイスターが素晴らしい。思春期の小姓、ケルビーノは「なぜかわからない」を歌い、恋に身をやつす心情を歌う。マティスがしっかりと聴かせる。スザンナに執心の伯爵。プライが見事に演ずる。そこへドン・バジーリオがやって来て、伯爵につくように勧める。シュライヤーが名人芸を聴かせる。ドレースデン国立歌劇場合唱団も素晴らしい。締めくくりとなる「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」は、ベリーの独断場だろう。

 後に、プライがフィガロを歌うようになると、プライならではの見事なフィガロを聴かせる。これは、カール・ベームの名盤になる。スウィトナーのもとでの伯爵も名演だろう。