マルタ・アルゲリッチ ショパン ピアノ協奏曲 第1番 Op.11

 マルタ・アルゲリッチ、ショパン、ピアノ協奏曲、第1番、Op.11。シャルル・デュトワ指揮、モントリオール交響楽団との共演である。アルゲリッチとデュトワは夫婦だったものの、1974年の来日をめぐって、デュトワと夫婦喧嘩の末、帰国、離婚となった。当時、この話題で持ちきりだったとはいえ、24年後、1998年、アーティストとして共演する。不思議なものを感ずる。

 第1楽章。円熟味あふれるピアノ。歌心も情熱的、かつ内面的。ワルシャワを離れ、パリへと向かうショパン。その途上、ポーランドがロシアの支配を脱せんとして蜂起する。知らせを聞いたショパンは祖国へ帰れず、練習曲、Op.10-12「革命」、Op.25-11「木枯らし」、12「太洋」に祖国への思いを託した。ポーランドを離れてもポロネーズ、マズルカを書き続け、祖国への思いを盛り込んだ。テクニックも自然、かつ音楽と一体化したアルゲリッチの姿を伝えている。

 第2楽章。オーケストラのじっくりと歌い上げる導入部に続くピアノ。アルゲリッチが内面的に歌い上げていく。ショパンが大きな世界に乗り出すと共に、初恋の女性、コンスタンティア・グラドコフスカへの思いも詰まっている。ショパンはピアノに託して歌う。そんな思いをくみ上げたアルゲリッチが見事に歌う。

 第3楽章。これ見よがしではないアルゲリッチの姿が伝わる。デュトワも見事に応えている。音色の素晴らしさは言うまでもない。歌心もたっぷり、ショパンの姿を伝えている。

 アルゲリッチの後に出たツィメルマンがショパン没後150年記念、自ら創設したポーランド祝祭管弦楽団との弾き振りによる名演が出て来たとはいえ、ルービンシュタインなど共に語り継がれるだろう。