バッハ・コレギウム・ジャパン 第143回定期演奏会 ケーテンの愛

 バッハ・コレギウム・ジャパン、第143回定期演奏会は、バッハとアンナ・マグダレーナとの結婚300年記念として「ケーテンの愛」と題し、ケーテン時代のバッハの作品を中心に取り上げたものとなった。(東京オペラシティ コンサートホール)

 まず、管弦楽組曲、第4番、BWV1069で幕を開けた。序曲の華々しさからブーレ、ガヴォット、メヌエット、歓びへと至る。鈴木雅明の円熟した指揮ぶりが聴きものだった。歌心も十分感じられた。アンナ・マグダレーナの音楽帳からの歌曲、アリアはたっぷりした情感豊かな歌唱が聴けた。松井亜希、澤江衣理、青木洋也、渡辺祐介の持ち味が生きていた。

ブランデンブルク協奏曲、第5番、BWV1050。少人数による演奏で、鈴木のチェンバロの見事さ、若松夏美の堅実さ、鶴田洋子の線のしっかりしたフルート・トラヴェルソが調和していた。

 後半はカンタータ、第120a番、BWV120a。1729年、ライプツィッヒ時代の作品で、結婚式のためのカンタータで、神の前で夫婦となった男女への祝福と共に、結婚生活への希望・信仰を歌い上げた名品である。ここでも、松井・青木・櫻田・渡辺の見事な歌唱、鈴木の円熟した指揮ぶりが光った。アンコールはロ短調ミサ曲、BWV232、クレード。第1曲の合唱がこの名作に取り入れられたことによる。

 バッハのケーテン時代では、器楽作品が目立つものの、教会作品は少ない。レオポルト侯がカルヴァン派だったことが大きく、ルター派は弾圧されていた。一方、レオポルトの母、ギーゼラ・アグネスはルター派貴族出身、ルター派の住民の保護に当ったものの、レオポルト侯と対立、内紛も起こった。バッハがケーテンを去った理由はここにあった。住みにくい町だったケーテンを去り、ライプツィッヒに移ったものの、こちらの方がバッハは苦労した。このコンサートで、ケーテン時代のバッハの作品を取り上げたことは評価したい。