アンジェラ・ヒューイット バッハ クラヴィーア協奏曲 第1番 BWV1052 第7番 BWV1058

 カナダのピアニスト、アンジェラ・ヒューイットのバッハ、クラヴィーア協奏曲、第1番、BWV1052、第7番、BWV1058。リチャード・トネッティ指揮、オーストラリア室内管弦楽団との共演による。

 バッハはライプツィッヒ、聖トーマス教会カントールの他に、カフェ・ツィンマーマンにおけるゲオルク・フィリップ・テレマンゆかりのコレギウム・ムジクムの音楽監督にもなった。トーマス・カントールでの煩わしさとは対照的に、ライプツィッヒ大学の学生たちとの一時はホッとした安らぎだっただろう。また、協奏曲などにも取り組める絶好の機会だった。

 クラヴィーア協奏曲は、他の楽器のための協奏曲をクラヴィーアに編曲しているものがほとんどで、失われた作品を原曲としている。今日、元の形に復元して演奏することも増えた。

 第1番はクラヴィーアとしての華麗さのみならず、深みも要求される。ヒューイットはこれに応え、見事な演奏を聴かせている。両端楽章での推進力、緩徐楽章での歌も見事。第7番はヴァイオリン協奏曲、BWV1041の編曲。クラヴィーアでも遜色ない。緩徐楽章ではしっとりしたオーケストラの音色の中にじっくりと歌い上げていく。深みある音色が聴きものである。両端楽章でも見事な演奏を聴かせる。

 ヒューイットは、バッハ演奏ではグレン・グールドを意識している。トロント生まれの奇才ピアニストへの尊敬も聴き取れる。グールドとは違う自分の世界を作り上げている。ただ、バッハ・オデッセイが新型コロナウィルスのため、未完成に終わったことは残念。私たちはヒューイットのバッハを心待ちにしている思いは変わらない。その思いを胸に秘め、ヒューイットの来日を心待ちにしたい。