ラルス・フォークト クリスティアン、タニア・テツラフブラームス ピアノ3重奏曲第2番 Op.87

 ラルス・フォークト、クリスティアン、タニア・テツラフ兄妹によるブラームス、ピアノ3重奏曲第2番、Op.87。Op.8が若きブラームスの悩み、苦しみなら、Op.87は堂々たる大家、ブラームスの姿である。1882年、バート・イシュルでの作曲で、ヨハン・シュトラウス2世などと親交を深め、自信に満ち溢れている。

 第1楽章の堂々たる、円熟した佇まいは、前年に作曲したピアノ協奏曲第2番、Op.83に通ずるものがある。ピアノの堂々たる書法、ヴァイオリン、チェロとの調和も十分である。

 第2楽章はイ短調の情熱的な主題に始まる。シューマン家を訪問する前から親友だったヨアヒムとの友情が崩れ、和解を求めんとしたブラームスの心境を見事に表現している。中間部の穏やかな主題には安らぎが感じられる。

 第3楽章は不気味な主題に始まるスケルツォ、ブラームスの本領が発揮されている。トリオのじっくりと歌いあげていく主題にはブラームスの歌心が満ちている。

 第4楽章はスケールの大きなフィナーレ。ハンガリー風の主題が発展、素晴らしい盛り上がりを見せていく。力強い締めくくりとなる。

 フォークト、テツラフ兄妹の自信に満ちた姿を彷彿とさせる。