バッハ・コレギウム・ジャパン 世俗カンタータ  8

 バッハ・コレギウム・ジャパンによる、バッハによる世俗カンタータ・シリーズ第8回(23日 東京オペラシティ コンサートホール)は、「鳴りかわす弦の競いつつ相和する響きよ」BWV207のパロディー、「さあ、晴れやかなトランペットの響きよ」BWV207a、「急げ、渦巻く風よ フェーブスとパンの争い」BWV201であった。

 「さあ、晴れやかなトランペットの音よ」では、オーケストラによる祝典行進曲にのって、合唱が入場する形をとった。これはザクセン選帝侯でポーランド国王を兼任していたアウグスト3世の聖名祝日に合わせ、原曲「鳴りかわす弦の競いつつ相和する響きよ」の詞を選帝侯を称える歌詞に書き換えたもので、領主への祝意が伝わり、ドレースデンの宮廷を彷彿とさせる演奏だった。

 「急げ、渦巻く風よ」はギリシア神話でのアポロンとパンの音楽比べに基づき、音楽がいかに優れた芸術であるかを示さんとする、バッハの思いが伝わった。パンの笛を称えたミダス王の耳をロバの耳にした際、ミダスにロバの耳をかぶせていたことは頷けよう。バッハはオペラも見ていたものの、オペラ創作には手を染めなかった。むしろ、カンタータの形式を用いて、音楽劇と称してオペラを作曲していたと考えてもよいだろう。

 11月にはロ短調ミサが控えている。大いに期待したい。