NHK交響楽団 第89回オーチャードホール 定期演奏会

 今回で89回目を数えるNHK交響楽団、オーチャードホール定期演奏会は指揮にイタリアの新鋭ロベルト・トレヴィーノ、ピアノにゲルハルト・オピッツとともに21世紀ドイツ・ピアノ界を代表するペーター・レーゼルを迎え、ベートーヴェン、ピアノ協奏曲第3番、Op.37、ブラームス、交響曲第2番、Op.73を取り上げた。

 まず、ベートーヴェン。レーゼルのピアノの素晴らしさはさることながら、第1楽章カデンツァはベートーヴェンのオリジナルではなく、モシェレス/ブラームスのカデンツァを用いていた。アンコールではブラームス、インテルメッツォ、Op.117-1を演奏、心にしみわたるような演奏だった。

 ブラームス、トレヴィーノの真摯な音楽づくりが光る。ブラームス壮年期の名作をじっくり、かつ素晴らしいまとまりをみせ、渋さも伝わってきた。アンコールはモーツァルト、オペラ「フィガロの結婚」序曲。こちらも聴きどころ十分な締めくくりだった。

 レーゼルは11日、紀尾井ホールでバッハ、モーツァルトによるリサイタルがあり、こちらも楽しみである。