市川右近、市川右団次を襲名

 ここ最近、歌舞伎界では名跡襲名が相次ぐ。中村福助の歌右衛門襲名は福助の病気療養で延期となり、いつになるかはわかっていない。昨年の中村翫雀の鴈次郎襲名、今年に入って3月には中村芝雀の雀右衛門襲名、秋には中村橋之助の芝翫襲名となる。

 今日のニュースでは、来年の秋、澤瀉屋一門の市川右近が上方では81年間途絶えていた市川右団次襲名の報が入った。

右近も師匠市川猿翁とともに、1992年に話題となったバイエルン国立歌劇場来日公演、リヒャルト・シュトラウス「影のない女」の演出に取り組み、自らリヒャルト・シュトラウス「サロメ」、バロック・オペラの傑作、モンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」、団伊玖磨「夕鶴」の演出も手掛けている。

 右近が上方の名跡、右団次を襲名し、歌舞伎の伝統を守りつつ、新しい試みにも取り組んでいくことを望みたい。ただ、多くの歌舞伎ファンには中村福助の歌右衛門襲名がいつになるかが気がかりだろう。ともあれ、市川右近の市川右団次襲名を心から祝福したい。